子どもの睡眠不足

小学校低学年生の睡眠では、発達の個人差に十分に注意しなければならない。学校生活で疲れやすい子は、家へ帰って昼寝をすればいいし、昼寝をしなくても乗りきれる子は、とくに昼寝をすることはない。それらいろいろなタイプの小学生の睡眠は、個人差にあわせる必要がある。小学校に入ると、個人差を無視して、生活スタイルを同じように固めてしまおうとしがちである。しかし、身長差が大きいのと同じように個人差がとても大きいので、無理に同じにするのでなく、個人個人の事情におうじた睡眠のとりかたをしたい。生活スケジュールをつくるばあいも、本人まかせにせず、親が手伝ってやることが大切である。いろいろな活動をするさいに、眠くてもうろうとした状態ですることのないように、うまく眠りの時間を配分してやるのがいい。高学年になると、きちんとした睡眠スケジュールをつくって実行できる年代になる。かれらはいま、何時ごろ寝て、何時ごろ起きているのだろうか。ノートルダム清心女子大学の石原金由教授らが一九九九年におこなった、岡山市と倉敷市での調査がある。それによると、平日には、四年生は平均九時四九分に寝て、六時四七分に起きる。五年生は一〇時五分に寝て、六時四八分に起きる。六年生は一〇時一九分に寝て、六時四八分に起きている。休日には、 一〇時半から一一時に寝て、朝八時から八時二〇分に起きている。休日には平日より就床時刻が四〇?五〇分遅く、起床時刻が一時間一五分?一時間三〇分遅れて、宵っぱりの朝寝坊の方向に動いている。

 

 

しかし、睡眠時間そのものは、平日は八時間半から九時間、休日だと九時間強とあまり変わっていない。小学校高学年ですでにかなりの夜型化がはじまっていることがわかる。そのなかでもとくに遅い子どもたちには、健康に問題がおよんでくることが懸念される。同じ子どもたちに「どんな疲労を感じるか」という質問をしたところ、多かった答えは、不安、イライラ、気力減退などの精神症状であるが、体の不調や抑うつを訴える子も、わずかではあるがみとめられる。塾帰りの小学生が、 一〇時ごろの終バスに乗っているのはよく見られる。 一〇時にバスに乗っていると、家へ帰って寝るのは一一時ぐらいになってしまう。これでは就寝時間が遅すぎる。子どもの睡眠時間を守る視点で塾の運営を考える必要がある。子どもたちが睡眠不足で、イライラした状態を、小学生のときから慢性的にかかえるのは、だれが考えても好ましいことではない。