助っ人のおばさん

父の住む横丁はきわめて地縁の濃い地域です。夏のころなら、日中は玄関があけっ放しです。横丁のおばさんは「おはよう」と声をかけながら上がってきます。これまで両親が敷居の低いおつき合いをしてきたからなのでしょう。横丁のおばさんたちはときには父の話相手をしてくれたり、買い物を担ってくれたりと、なにかにつけて私たち姉妹をサポートしてくれます。そんな強力な助っ人のおばさんたちも皆さん七〇歳代の高齢者です。知り合いが入院した、体調が悪いと聞いただけでも、自分の身に不安を感じ、元気をなくしてしまうような年齢なのです。老人世帯や独居老人だらけのこの横丁は五年もしたらどうなるのでしょうか。介護保険で対応できるようになるのでしょうか。

 

介護の社会化で立派な建物の介護施設が次々と建っていますが、それよりも歩いて行けるような所にグループホーム(宅老所)ができたらよいのにと最近思います。そうすれば横丁のおばさんたちも住み慣れた地域で人生の最期を迎えることができるのではないでしょうか。在宅介護をすすめようというのなら、行政にはぜひ「介護の町内化」を検討してほしいものです。  

 

元気をなくしてしまうような年齢

住み慣れた家がいちばん実家は築二〇年の和洋式の一軒家です。部屋は襖やガラス戸で仕切っています。仕切りの所は少し段差があり、車椅子の使用にはあまり向きません。そのわずかな段差につまずいてしまうのは、どちらかといえばこの家に慣れていない私のほうで、父は不思議とつまずいたりはしません。おぽつかない足元でもひょいとまたいでクリアしています。

 

 

友人の家の近くに住むおばあさんはひとり暮らしのうえに全盲だそうです。介護保険制度が始まってからヘルパーさんの支援を少しだけ受け始めたそうですが、それまでは生活全般を一人でこなしてきたといいます。どんな生活ぶりなのか、好奇心旺盛な私はつい訪ねてみたくなります。おそらく生活に必要なもののすべてがどこにあるのか体で覚えているのでしょう。中途半端に手伝ってもらつて、置場が変わってしまうことのほうが、かえって迷惑になつてしまうかもしれません。慣れた場所だから、私たちが心配するほど生活に不便さを感じないのだと思います。自由で気ままな空間で自立した生活を満喫しているのでしょう。段差もそうですが、お年寄りは慣れた場所ならばけつこうじようずに日常生活を続けていくことが可能です。かえって改善することで混乱してしまうこともあります。慣れた家で生活をさせてあげる